BLOG
Article

法定調書の提出義務 – 支払調書の作成漏れにご注意を

お知らせ 2026.01.15

はじめに

毎年1月は、法定調書の提出時期です。給与支払報告書、源泉徴収票、支払調書、法定調書合計表など、提出すべき書類は意外と多く、漏れが発生しやすい時期でもあります。

本稿では、法定調書の提出義務について、特に「支払調書」の論点を中心に整理します。

論点1:法定調書の種類と提出期限

法定調書には60種類以上ありますが、中小企業や個人事業主が関係するのは主に以下のものです。

  • 給与所得の源泉徴収票(同合計表):1月31日
  • 退職所得の源泉徴収票(同合計表):1月31日
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(同合計表):1月31日
  • 不動産の使用料等の支払調書:1月31日
  • 給与支払報告書(市区町村提出):1月31日

マイナンバーの記載

法定調書には、原則として支払者および受給者のマイナンバー(個人番号・法人番号)の記載が必要です。給与所得の源泉徴収票については本人交付用のマイナンバー記載は省略されますが、税務署提出用には記載が必要です。

論点2:報酬・料金の支払調書

報酬・料金の支払調書は、提出漏れが最も発生しやすい書類です。源泉徴収していない取引であっても、支払調書の提出義務がある場合があります。

支払調書の対象となる報酬

所得税法第204条第1項に該当する報酬・料金等が対象です。

  • 原稿料、講演料:年間5万円超
  • 税理士、弁護士、公認会計士等の報酬:年間5万円超
  • 社会保険診療報酬支払基金から支払われる診療報酬:年間50万円超
  • プロスポーツ選手、外交員等の報酬:年間50万円超
  • 広告宣伝のための賞金:年間50万円超

特に注意が必要なのは「税理士、弁護士、公認会計士等の報酬」です。会社が顧問料として支払っている報酬も対象であり、年間5万円を超える場合は支払調書の提出が必要です。

源泉徴収との関係

支払調書の提出義務と源泉徴収義務は別物です。例えば、法人に対する支払いは原則として対象外ですが、一部例外的に提出義務があるケースもあるため注意が必要です。

「源泉徴収していないから支払調書は不要」という誤解は税務調査でよく指摘されるポイントです。

論点3:不動産関連の支払調書

不動産関連の支払調書には、以下の種類があります。

  • 不動産の使用料等の支払調書:年間15万円超
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書:年間100万円超
  • 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書:年間15万円超

不動産の使用料

法人が事務所や店舗の家賃として個人に支払う賃料は、年間15万円超で支払調書の提出が必要です。さらに、礼金、更新料、権利金なども含まれる点に注意が必要です。

「個人の大家さんに毎月10万円の家賃を払っている」場合、年間120万円となるため、支払調書の提出義務があります。

論点4:給与支払報告書

給与支払報告書は、給与等を支払った場合に、受給者の住所地の市区町村に提出する書類です。源泉徴収票と内容は同じですが、提出先が異なります。

退職者についての注意

年の途中で退職した社員についても、給与支払報告書の提出が必要です。退職時に「退職者用源泉徴収票」を発行することはありますが、市区町村への給与支払報告書の提出は、翌年1月にまとめて行います。

実務上の留意点

  • 支払調書の作成対象を一覧化する(顧問料、賃料、外注費等を網羅)
  • 法人に対する支払いも、支払調書の対象となる場合があることを認識する
  • マイナンバーの収集は事前に行う(直前だと取得が間に合わないケースがある)
  • e-Tax・eLTAXでの電子提出により、印刷・郵送の手間を削減できる

塩野公認会計士事務所の見解

法定調書は、会社の事業活動を税務署に「報告」する書類です。提出漏れがあると、税務調査で「不誠実な納税者」という印象を与えてしまいます。逆に、漏れなく提出することは、税務署との良好な関係構築にもつながります。

中小企業では、法定調書の作成を年1回しか行わないため、ノウハウが蓄積しにくい領域です。当事務所では、法定調書の作成・提出を含めた、申告事務の総合サポートを行っております。

※ 本記事は執筆時点の法令・通達等に基づき作成しております。最新の制度や個別事情により取扱いが異なる場合がありますので、実務への適用にあたっては最新情報をご確認ください。ご不明点があればお気軽にご相談ください。